BRING TALK SESSION04|取材を通して見えてきた、循環の現場と未来へのヒント

2026.5.20

HIVE by BRINGの連載が始まって3年半。

これまで、全国各地のさまざまな循環の現場を取材してきました。

 

取材を重ねるなかで、過去に出会った人たちの言葉を、ふと思い出すことがあります。時間が経った今あらためて振り返ると、当時は気づかなかった視点や、今だからこそ見えてくる問いがありました。

 

これまで掲載してきた記事をBRINGディレクターの中村とライターの熊沢が振り返り、取材を通して見えてきたことや、その先にある問いについて語ります。

※この記事はポッドキャスト「HIVE by BRING」ep.75・ep.76を再構成して作成しています。

BRING ブランドディレクター

中村

HIVE by BRING ライター

熊沢


サイクルの大変さを痛感した『森、道、市場』でのPETカップ循環。 

熊沢 このポッドキャストを聞いてくださっている方はもうご存じかもしれませんが、私たちが編集チームとなってHIVE by BRING」というウェブマガジンを運営しています。いろいろな場所に行き、取材し、記事にしてきましたよね。

 

中村 いろなところに行きましたよね。沖縄から北海道まで

 

熊沢 うですね。改めて見返すと、読み応えのある記事がそろっているなと思います。これまでの取材の中で、印象に残っているものはありますか。

 

中村 マジで大変だったなと思うのは、森、道、市場2024』の記事ですね。

 

熊沢 ああ、PETカップの循環の記事ですね。

 

中村 その年、 BRINGは森、道、市場協力し、PETカップに関する循環プロジェクトに挑戦しました。そのため現地でPETカップ3,000個ほど洗うという作業があったのですが、この記事にはその裏側が書かれています。

Outdoor setup with signs and displays, construction in background.

森、道、市場は、循環やリサイクルに力を入れているフェスです。お店で食べたゴミは、お店に返す。それ以外のものは、一か所だけあるゴミステーションに持っていって、分別してから出すという運用でした。

 

PETカップに関しては、リサイクルしやすくするために水ですすいで綺麗にする必要がありますそれを森、道、市場がずっと続けているというのは、すごいなとも思いましたし、正直、とても大変だなとも思いました 

Person washing glasses in a sink with running water.

カップの中身も、水だけじゃないですよね。ビールとか、レモンサワーとか、糖分のあるものも多いですし。乾くとベタつきますからね。パフェとか、クリーム系のものも入るので、油分もある。それを洗うのが大変でしたそれに、カップの素材も一種類じゃなくて、PPポリプロピレン、PSポリスチレンなどいろいろな種類がある。それを一つひとつ確認して分ける必要ありました。

 

そのときに思ったのが、「今、自分は循環の山の、ものすごい麓に立ってるな」という感覚でした。実はまだ何も始まっていない場所に立っているだなと。


熊沢 一つひとつの工程は地味で、目立たないものですからね。 


自治体のペットボトル回収を通して見えてきた、それぞれの動機や工夫。

熊沢 自治体の取材にも行きましたよね。札幌市とか、北広島市とか。

 

中村 行きましたね。ちょうど寒波の時期でしたよね

Snow-covered cityscape with buildings, trees, and a bus in winter.

熊沢 JEPLANがペットボトルの回収・リサイクルで連携している自治体の中の2つ、ということで訪ねました。札幌市や北広島市で感じたのは、自然が身近にある場所だからこそ住民のも自治体の方も循環や環境への意識が高いということです。

 

中村 動機って、大事ですよね。ポジティブな理由ももちろんあるけれど、「このままだと立ち行かなくなる」という切実さも、強い推進力になります。これから地球温暖化も進んで、もっと意識せざるを得なくなる時代が来るかもしれない。来てほしくはないけど、そういう可能性はあると思いました。

 

熊沢 その前は京都府亀岡市にも行きましたね。(亀岡市に拠点を置く)ホズバックの取材武田さんもおっしゃっていましたが、街が本当に綺麗でしたよね。ゴミが全然落ちていなかった「エコウォーカー」と呼ばれるゴミ拾い活動もあって、住民参加型の取り組みが続いている。その結果があの綺麗さなんだなと思いました。

 

中村 それと、亀岡市がやってサーキュラーかめおかラボ」。川沿いで、2階建てで見晴らしもいい、すごく気持ちのいい場所でした。

A modern building with solar panels near a road and mountains.

熊沢 そこにはホズバックの端切れ生地が置いてあって、リメイクやハンドメイドの素材用に持ち帰る方もいるそうです。誰でも入ることができて雰囲気も良くて、エコやサステナブルな取り組みにも触れられる。そんな、ふらっと立ち寄れる場所があるのは素敵だし、それが受け入れられている街なだろうなと思いました。

 

中村 意識して街を見ると、サステナブルな取り組みが確かに存在している。ペットボトルの循環をきっかけにして、街全体のあり方まで見えてくるのが面白いです。

 

熊沢 まちづくりの話になりますよね。

 

中村 結局、循環ってまちづくりとセットなですよ。ゴミが回収されないと、公衆衛生の問題もあるし、単純に街が汚くなる。

A green truck parked near people by a street with trash bags.

熊沢 普段の生活では、家でゴミを出したら、そこで意識が終わっちゃいますよね。

 

中村 消費者としては、どうしてもそこで意識が止まってしまう。でも、その先の工程って実はものすごく大変です。普段暮らしている場所が、「なんでこんなに綺麗なんだろう?」って考えるきっかけになればいいなと思います。

楽しむことから始める、エンターテインメントと循環

熊沢 他に印象に残っている記事はWHITE JAMのNIKKIさんを取材した記事です。NIKKIさんが2022年に始めた「オタ活でSDGs」というプロジェクトBRINGとコラボしたことがあ、それがきっかけで取材しました。

Black t-shirt with green text:

でも音楽を楽しもうライブに行こう」としている人たちがサステナブルに意識を向けるのって、めちゃくちゃ難しい気がするですよね。「リサイクル」とか「環境問題」とか、どうしても“真面目”なイメージが入り込んでしまう。

 

中村 その楽しみが地球を汚している」みたいな言い方をされると、反発も生まれるし。楽しんでいる瞬間もあれば、サステナブルを意識している瞬間もある。どちらか一方だけを切り取って悪者にするのは、違うと思うですよ。

 

熊沢 NIKKIさんと話している時も、どうファンに伝えていくか、すごく悩まれているのが伝わってきました。

 

中村 BRINGがずっと大事にしてきた考え方の一つが、「サステナブルだから買ってください」ではなくて、「欲しいものを買ったら、たまたまサステナブルだった」が良いよねということです。川の流れは、少しずつしか変わらないでも、変わらないように見える川も、実は少しずつ形を変えています。僕はこの業界で17年やっていますが、17年前と比べると、状況は本当に変わりました。

 

「続ける」ことにプレッシャーを感じなくても良いですよ。年に1回言うらいでも良い。千年後の未来を作っていくような感覚で良いと思います。

「作って終わり」「売って終わりにしない、山と道のものづくり

中村 「山と道」の代表、夏目さんを取材した記事も印象に残っています。メリノウールの残生地を使って、パッチワークのブランケットを作る取り組み。それ以上に面白かったのは、在庫を「金額」ではなく「点数」で見るという考え方でした。卸先でもきちんと消化されているか把握しているそうです。

Person holding a yellow and gray fabric outdoors in a natural setting.
A rack of various colored shirts and blouses hanging neatly.

熊沢 納品から時間が経って虫食いが出た商品も、卸先から回収して修理するという話も印象的でした。作って終わり売って終わりにしないというマインドを強く感じます。

 

中村さんは、使っていて壊れたものの修理はご自身でされますか。

 

中村 しますね。例えばスニーカーの靴底が剥がれた時は、靴用ボンドで貼り直して履きます。Nintendo Switchもコントローラーが壊れた時に分解して直しました。子どもに「新しいものを買わなくても、直せるんだぞ」という姿勢を見せたくて。

 

熊沢 私はあまり器用ではないのでつい修理より買い替えを選びがちなです...

 

中村 でも、どうせ買い替えるなら、一回直してみるのも面白いですよ。それ自体が一つのアクティビティになりますし。

 

熊沢 それでいうと、金継ぎいつかやってみたいと思っています。

 

中村 金継ぎは結構本格的な作業が必要で、口に入れて安全な素材を使わなければならないし、金継ぎ教室や講習を行っているところもありますよね。今後HIVE by BRINGの企画として、リペアの現場を取材するのは面白いかもしれないです。


取材を通して出会った言葉や出来事を振り返ると、それぞれ異なる場所や立場から語られたものでありながら、どこか共通する問いを抱えているようにも感じます。今回あらためて話してみることで、「循環」という言葉の中に、さまざまな考え方や背景が重なっていることを実感しました。

 

ウェブマガジン「HIVE by BRING」では、これからも循環にまつわる現場や実践を取材していきます。ポッドキャストでは、記事では触れきれなかった話題や、より幅広い分野のトークもお届けしています。気になるテーマがあれば、ぜひ他の記事やエピソードものぞいてみてください。

ウェブマガジン「HIVE by BRING」 

https://bring.org/pages/bringmagazine

 

ポッドキャスト「HIVE by BRING」

https://creators.spotify.com/pod/profile/hivebybring/

執筆:熊沢紗世

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