BRINGを運営する株式会社JEPLANは、2022年より京都府亀岡市と「かめおか未来づくり 環境パートナーシップ協定」を結び、ケミカルリサイクル技術を用いた使用済みペットボトルの「ボトルtoボトルリサイクル」を推進しています。※1
【ボトルtoボトル】プラスチック製レジ袋提供禁止を実現。環境先進都市とプラスチックごみゼロへの挑戦は続く。| 京都府亀岡市
2025.12.19
※1 JEPLAN「日本環境設計と亀岡市が「環境パートナーシップ」に係る包括連携協定を締結「ボトルtoボトルリサイクル」に関する取り組みについても協働へ」 https://www.jeplan.co.jp/2022/02/18/10289/
亀岡市と亀岡市議会は、2018年12月に「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を発信しました。この宣言により、亀岡市は2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロを目指すとともに、自然環境の保全と地域経済の活性化に一体的に取り組む「世界に誇れる環境先進都市」の実現を目指しています。
「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」が目指す5つの目標※2
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市内の店舗でのプラスチック製レジ袋有料化を皮切りにプラスチック製レジ袋提供禁止に踏み切り、エコバッグ持参率100%を目指す取り組みを進める。·
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「保津川から下流へ、そして海にプラスチックごみを流さない」世界規模の海洋汚染(マイクロプラスチック)問題に立ち上がる意識のつながりを呼びかける。·
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当面発生するプラスチックごみについては100%回収し、持続可能な地域内資源循環をめざす。·
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使い捨てプラスチックの使用削減を広く呼びかけ、市内のイベントにおいてもリユース食器や再生可能な素材の食器を使用する。·
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市民や事業者の環境に配慮した取り組みを積極的に支援し、世界最先端の『環境先進都市・亀岡』のブランド力向上を目指す。
※2 一般財団法人日本環境衛生センター「亀岡市におけるプラスチックの資源循環の取り組み」chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jesc.or.jp/Portals/0/center/library/seikatsu%20to%20kankyo/202205_ohnishi.pdf
JEPLANとの協働をはじめとした亀岡市の環境保全に対する取り組みについて、資源循環推進課の藤田聡さんにお話を伺いました。
保津川の清掃活動から始まった、レジ袋禁止への道。
― 亀岡市が「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を出す、きっかけはあったのでしょうか。
藤田 亀岡を出発し、京都市内の嵐山まで船で下っていく「保津川下り」というアクティビティがあります。2000年代に入り、保津川にもビニール袋などのゴミが目立つようになりました。それでは景観を損なうということで、保津川下りの2人の船頭さんが清掃活動を始めたんです。また、現市長が2015年に就任した際に「環境先進都市」を目指すビジョンを出し、その後2018年12月に「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を出しました。2019年8月には、国よりも11ヶ月早くプラスチック製レジ袋を有料化し、その後2021年に有償・無償を問わず提供を禁止する条例を施行しました。
― 全国でレジ袋有料化が義務付けられる前から、有料化の取り組みを始められていたんですね。
藤田 条例は全国の自治体で初の取り組みです。他の自治体では前例のないことをするということで、当初はスーパーやコンビニといった事業者さんからの反発が大きかったそうです。フランチャイズチェーン協会(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)に市長が赴き説明を行った際は、なぜ一つの自治体だけ特別扱いしてレジ袋を有料化しなければならないのかと、厳しい言葉をいただいたと聞きました。
― 全国チェーンの企業を説得するのは難しそうですね。
藤田 全国チェーンの事業者に協力を呼びかけましたが、当時は理解してくださる企業もあれば、理解していただけなかった企業もありました。今では皆さんにご理解いただいて、プラスチック製レジ袋の提供禁止条例を出すことまでできました。亀岡市内の店舗では、現在プラスチック製のレジ袋の提供を行っておらず、お買い物をされる方はエコバッグを使用されています。どうしてもレジ袋が必要な方には紙製のレジ袋が有料で販売されています。
― それにより、市民の方々のエコバッグ使用率は上がったのでしょうか。
藤田 皆さん当たり前のように、エコバッグを持参してくださっています。今では、エコバッグの持参率は98%を超えています。観光客の方には驚かれることがありますが、亀岡は「環境先進都市」であることを知ってくださっている方も多く、取り組みにはご理解いただけていると思います。今後も「亀岡=環境先進都市」のイメージが、どんどん広まっていけば嬉しいです。
亀岡市は四方を山に囲まれている。
『おいしい水道水』を活かした、マイボトル普及プロジェクト。
― そのほかに取り組まれていることはありますか。
藤田 マイボトルの持参についても、力を入れて発信しています。亀岡市の水道水は過去に厚生労働省によって『おいしい水道水』に認定されました。その水を活かし、2021年に「亀岡のおいしい水」プロジェクトをスタートしました。また、市内の公共施設や全小中学校、高校に給水機を設置しています。事業者さんに給水スポットになっていただき専用のアプリ(mymizu)に登録していただきました。2025年10月現在、93ヶ所の事業者さんにご登録いただいています。
市役所に設置された給水機。隣には、食用油の回収BOXも。
― 私も普段マイボトルを持参しますが、外出先に給水スポットがないと困るんですよね。
藤田 亀岡市では、飲食店だけではなく様々な企業に登録いただいています。今年の1月に実施した市民アンケートでは、マイボトル保有率50%という高い結果が出ました。「なぜマイボトルを使うのか」という問いかけに対しては、「環境に良いから」「ゴミを減らすため」といった環境を意識した回答を多数いただけたので、「おいしい水」プロジェクトの成果が出ているのかなと嬉しく思っています。
― そんな中、ペットボトルの回収に出されたものはどれくらいになるのでしょうか。
藤田 2024年度の実績では130トンです。回収されたペットボトルは中間処理業者で不純物を取り除き、圧縮してベール化した後、基本的には100%ペットリファインテクノロジーに送っています。
『アート×環境』で広げる、次世代へつなぐ亀岡市の挑戦。
― ペットボトルの「ボトルtoボトルリサイクル」をされていることは、市民の方々に発信されているのでしょうか。
藤田 様々な機会で発信はしているものの、正直まだあまり認知は広がっていないと思います。ケミカルリサイクルという、ペットボトルを何度でもリサイクルできる技術があり、亀岡市で回収されたペットボトルも資源化されているということは、日頃環境に対する取り組みにご参加いただいている市民の方々に、もっと伝えていくべきことだと感じています。合わせて、ペットボトルを回収に出す際は、リサイクルの効率を上げるためにラベル・キャップははずし、中をすすいでいただくことも引き続き周知していきたいです。
亀岡を拠点にするホズバッグの「KAMEOKA FLY BAG Project」。
― 学校やイベントで学んだことを、家に持ち帰って家族に話してもらえると良いですね。
藤田 親から子へ、子から親へと環境を意識した取り組みが広がっていけば、どんどんと次の世代へと引き継がれていくのではないかと思います。そうしていつか、リユース・リサイクルをするのが当たり前になっていくのかなと。次の世代へと繋ぐ環境教育には、今後更に力を入れていきたいです。
【NEXT ACTION】
JEPLANは日本全国の様々な自治体と連携し、「ボトルtoボトルリサイクル」のさらなる普及のために活動を行っています。お住まいの地域では、どんなリサイクルに取り組んでいるでしょうか。是非一度、自治体のホームページなどを見て調べてみてくださいね!
BRINGが行う
「ボトルtoボトル」リサイクルについて
詳細はこちら
https://bringbottle.jeplan.co.jp
おうちで遊べる「リサイコロ」はこちら
https://bring.org/pages/recycolo_dl
お問い合わせはこちら
https://bringbottle.jeplan.co.jp/contact
取材・執筆:熊沢紗世
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