今年最大級の寒波に包まれた北海道・札幌市。
白く静まり返った街を一日かけて巡りながら、3つの「循環」を訪ねました。
今年最大級の寒波に包まれた北海道・札幌市。
白く静まり返った街を一日かけて巡りながら、3つの「循環」を訪ねました。
札幌市に聞く。ボトルtoボトルの現在地
― 資源循環や脱炭素を目指す視点 ―
札幌市内で回収されるペットボトルの量は、年間約8,500トン。
これまでは全量を国の指定法人へ引き渡し、食品トレーや卵パックなどへ再生利用してきました。しかし、このリサイクルルートでは、札幌市自身がリサイクル方法やその行き先を指定できないという課題がありました。
そこで2024年10月〜2025年9月の1年間、そのうちの一部(1,023トン)を2つの事業者(ペットリファインテクノロジー株式会社〈以下、PRT〉※1、北海道コカ・コーラボトリング株式会社〈以下、コカ・コーラ〉)へ引き渡し、「ボトルtoボトル」リサイクルにおける効果を検証する試行事業が実施されました。将来のペットボトルリサイクルのあり方を検討することも目的としています。
この事業では一定の成果が得られた一方で、さらなる課題も見えてきました。そのため、2025年10月〜2026年9月の1年間も引き続き試行事業が行われています。第二期ではペットボトルの量を倍に増やし、中間処理業者、各事業者への輸送など、運用面での課題を検証していく予定です。※2
※1 ペットリファインテクノロジーは、BRINGを運営する株式会社JEPLANのグループ会社です。
※2 札幌市「ペットボトルをペットボトルにリサイクルする『ボトルtoボトル試行事業』を開始します」https://www.city.sapporo.jp/seiso/gomi/recycle/btob.html
「ボトルtoボトル試行事業」について、札幌市 循環型社会推進課 資源化推進係長の佐藤真広さんにお話を伺いました。
Q. ボトルtoボトル試行事業に取り組んだ背景を教えてください。
佐藤 2022年4月、「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」※3が施行され、プラスチックの再生利用を推進する動きが全国で加速しています。札幌市としても、資源循環や脱炭素は重要な政策課題です。ペットボトルを再びペットボトルへ戻す「水平リサイクル」の有効性を、札幌市としても検証する必要があると考え、試行事業を開始しました。
※3 プラスチック資源循環促進法(プラ新法):製品の設計から廃棄まで、プラスチックのライフサイクル全体で「3R+Renewable(リニューアブル)」を促進する法律。
Q. 具体的なリサイクルの流れはどうなっていますか。
佐藤 まず札幌市が分別回収したペットボトルは、市内に2カ所ある資源選別センターへ送られ、選別・圧縮などの前処理が行われます。その後、PRTへの引き渡し分はケミカルリサイクルにより高品質なPET樹脂へ再生され、飲料・ボトルメーカーによって再びボトルとして製品化されます。コカ・コーラへの引き渡し分は、メカニカルリサイクルの事業者によってPET樹脂へ再生されます。
第一期では合計1,023トンのペットボトルをリサイクルし、約4,400万本分のペットボトルへと生まれ変わりました。現在は第二期を実施中で、リサイクル量は倍の合計2,000トンとなる見込みです。
Q. なぜ段階的な拡大なのでしょうか。
佐藤 既存のリサイクルルートとのバランスもあります。札幌市内にもリサイクル事業者があるため、急激に量を変更すると影響が出る可能性があります。そのため段階的に検証を進めています。
また、量を増やすことで、回収から中間処理、輸送までの運用面で課題やトラブルがないかも確認する必要があります。
Q. 2つの事業者を選定するうえで、重視した点はありますか。
佐藤 買取価格が基準になる場合もありますが、私たちは「高く買ってくれるか」だけではなく、環境負荷の低減やCO₂排出削減量も含めて評価する必要があると考えました。
「環境にやさしい」と一言で言うのは簡単ですが、その中身は一つではありません。北海道内にはリサイクル事業者が限られているため、本州への輸送が発生するケースが多くあります。その際の輸送コストやCO₂排出、処理工程でのエネルギー使用、地域経済への影響など、どこに着目するのが札幌市として妥当なのかを整理しながら検証しています。
Q. 市民への啓発活動はどのように行っていますか。
佐藤 札幌市では、小学4年生でごみをテーマにした環境学習を行っています。2025年7月には、市内小学校でJEPLANによる出前授業を実施しました。授業では、遊びながら学べる「リサイコロ」というボードゲームを体験してもらい、ペットボトルリサイクルへの理解を深めてもらいました。
2025年7月、札幌市内の資生館小学校で開催された出前授業の様子。
また、コカ・コーラと連携し、自動販売機に「はずす・はがす・かえす」のポスターを掲示しました。札幌市では、回収に出す前にラベルとキャップを外すよう呼びかけています。
分別の精度が上がれば、再生の質も向上します。制度を整えるだけでなく、市民の皆さまの協力があってこそ、資源循環は実現できると感じています。
自治体の資源循環は、単にリサイクル方法を見直すことだけでは実現できません。
輸送やコスト、そして市民の方々の協力があってこそ成り立つものだと感じました。
市職員が率先してレジ袋の削減に取り組むため、本庁舎の環境局フロアの壁にフック付きの磁石を貼り、昼休み時間帯に共用のエコバッグをかけることで、利用を促進しています。
VIVOBAREFOOT SAPPORO
― イギリス発、足裏で地球とつながるナチュラルフットウェアブランド ―
札幌市役所を後にし、私たちが次に向かったのは、円山公園のすぐ隣にオープンした「VIVOBAREFOOT」(以下、VIVO)札幌店です。雪に覆われたアーチをくぐり、あたたかな空気が流れる、まるで“かまくら”のような店内へと足を踏み入れました。
店の外には焚き火台があるが、今は雪に埋まっている。
店舗スタッフの原尚輝さんにお話を伺いました。
店内は美しい木造の梁(はり)が見える高い吹き抜け構造で、ゆったりとした空間が広がっています。もともとは焼肉店だった建物を、解体からリノベーションまでVIVOのメンバー自らが手がけました。別店舗で使用されていた木材や地元の石材も使われています。
床の一部には「ストラクチャーリバー」を設置。砂利や流木、岩などの自然素材の床材を歩くことで、“足本来の力を取り戻す”ことを目指したVIVOのベアフットシューズならではの安定感や足裏感覚を体験できます。
札幌の冬の必需品、スノーシューズをラインナップ。ソールにリサイクル素材を使用したものも。
さらに、壁面のシューズ棚や扉、床のデザインに至るまで、ブランドモチーフであるヘキサゴン(六角形)が繰り返し取り入れられています。六角形を5つ組み合わせた「V」字型のブランドロゴには、母指球・小指球・かかとの3点を結ぶと「V」の字を描くこと、そして「Vivobarefoot」の頭文字である「V」の二つの意味が込められています。
そして店内の一角には、日本初のコールドプレスジュース専門店「SUNSHINE JUICE」が併設されています。
無農薬野菜を使い、2トンの圧力で栄養を壊さずに抽出するコールドプレスジュース。私たちも、ビーツを使った鉄分たっぷりのジュースと、チャーガとウコンが入ったチャーガラテを試飲させていただきました。口に含んだ瞬間、身体の奥からじんわりと力が湧いてくるような感覚があり、自然のエネルギーを全身で感じることができました。
札幌の雪道を踏み締めるベアフットシューズ。寒さに打ち勝つ活力をくれるコールドプレスジュース。“自然とともに生きる”という姿勢が、この空間には確かに息づいていました。
01. Outdoor & Life Shop
― 国内外の個性派ブランドが並ぶセレクトショップ ―
最後に訪れたのは、桑園エリアにある「01. Outdoor & Life Shop」です。
迎えてくれたのは、オーナーの本田太一さん。長年アウトドアアパレルの小売に携わってきた経験を活かし、「大きなブランドだけでなく、小さくても面白いブランドを紹介したい」と語ってくれました。道外ブランドのポップアップも積極的に開催しており、店の奥のスペースはギャラリーやイベント会場として活用されています。
以前はBRINGのショップ・イン・ショップを開催したこともあり、現在もBRINGの衣料品回収を実施中です。回収ボックスの中には、使い込まれたフリースなどの衣類が収められていました。なかにはBRINGのWUNDERWEARも。数年前に購入したものに「穴が空いてしまった」と持ち込まれたそうです。
集められた衣類は、この後、素材ごとに仕分けされ、リユースやリサイクルのルートへとつながっていきます。思いがけない場所で、循環の輪に出会うことができました。
店内のトイレには、本田さんの娘さんが授業で制作した新聞が飾られていました。特集は、札幌の名山である定山渓や藻岩山。冬場は毎日雪山でスキーをしてから出勤しているという本田さん。そのスピリットは、娘さんの中にも、しっかりと受け継がれているようでした。
【NEXT ACTION】
今回、札幌の街を歩きながら、さまざまな循環のかたちに出会いました。
循環は、特別な場所だけにあるものではありません。
あなたの暮らしの中にも、きっとすでに存在しています。
ペットボトルを分別すること。
着古した服を回収に出すこと。
地域の取り組みに目を向けてみること。
ぜひ、あなたの街の「循環」を探してみてください。
小さな気づきが、新しい一歩につながるかもしれません。
BRING BOTTLE ウェブサイト
https://bringbottle.jeplan.co.jp/
VIVOBAREFOOT ウェブサイト
01. Outdoor & Life Shop ウェブサイト
札幌での取材を終えた翌日、私はJRに乗り、北広島市へ向かいました。
そこにもまた、地域の中で育まれている循環の取り組みがありました。
北広島市の記事はこちら
取材・執筆:熊沢紗世
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