リサイコロで遊ぶ子ども達

【ボトルtoボトル】次の世代を担う、子どもたちへ。楽しみながら学ぶ環境教育で、ペットボトルの分別・回収方法を伝える。| 北海道釧路市

2024.12.5

自然と共生する街、釧路市が取り組む“ボトルtoボトル”のリサイクル。

BRINGを運営するJEPLANグループは、“ボトルからボトルをつくる”ペットボトルのリサイクル事業を子会社のペットリファインテクノロジー株式会社(以下PRT)とともに行っています。2022年には、北海道釧路市と、「地域循環共生圏」の推進に寄与することを目的とした包括連携協定を締結。使用済ペットボトルの「ボトルtoボトル」リサイクル推進や、市民への環境教育や啓発活動等について連携をした取り組みを進めてきました。

釧路市には、回収したペットボトルの選別や異物除去を行い、圧縮梱包(ベール化)するまでの中間処理工場があります。家庭や市内の資源物ステーションで回収されたペットボトルには、ペットボトル以外の物が混ざっていたり、ラベルやキャップがついたままのものがあったりするので、それらを手作業で選別します。

中間処理工場の様子
中間処理工場での選別の様子

異物を取り除いたペットボトルは、圧縮梱包され、釧路港から船でPRTに運ばれます。年間、約900トンのペットボトルが運ばれているそうです。そしてそれらは、PRTが持つ独自のケミカルリサイクル技術によって、再び新品同等のペットボトル原料へとリサイクルされています。

圧縮梱包されたペットボトル

オリジナルボードゲームで、楽しく遊びながらリサイクルを学ぶ。

2024年9月、JEPLANは釧路市立光陽小学校で環境教育授業を行いました。授業で用いたのは、ペットボトルのリサイクルの仕組みと「ボトルtoボトル」の大切さを伝えるために開発された、JEPLANオリジナルのボードゲーム「リサイコロ」です。(リサイコロについては、こちらの記事(【ボトルtoボトル】ペットボトルのリサイクルについて、ボードゲームで楽しく遊びながら学ぼう!| HIVE by BRING)で詳しくご紹介しています)

リサイコロで遊ぶ子ども達
リサイクルの大切さを伝えるアニメーション動画を見る子ども達

実際に身体を動かしながら遊べるボードゲームに、子どもたちは興味津々。リサイクルの大切さを伝えるアニメーション動画も、食い入るように見てくれました。釧路市では他にも、地域の小学生や親子を対象にした中間処理工場の見学ツアーも開催しているそうです。

 

「ボトルtoボトル」のリサイクルをテーマにしたアニメーション。(製作:JEPLAN)

子どもたちにはお土産に、おうちで遊べるリサイコロキットを持ち帰ってもらいました。

子どもたちにはお土産に、おうちで遊べるリサイコロキットを持ち帰ってもらいました。

市役所からの発信で、市民の意識を変える。
リサイクルを未来につなげていくために、今できること。

釧路市で「ボトルtoボトル」の推進や、環境教育に取り組む、釧路市環境事業課の上平さんにお話を伺いました。

 

─ JEPLANと協定を結び、「ボトルtoボトル」の取り組みを始めて良かったと感じることはありますか。

 

上平 JEPLANさんの知識やノウハウを提供していただいたことで、僕らだけでは二の足を踏んでいたことを進められたのは良かったです。また僕らから一方的に伝えるだけではなく、市民の方々にとっても“自分ごと”として捉えてもらうにはどうしたら良いか、考える機会もいただけたと思っています。今回行った「リサイコロ」も、ペットボトルのリサイクルを、子どもたちにゲームとして体験しながら学んでもらう一つの手段になったら良いなと感じました。

釧路市環境事業課の上平さん

上平 また、ペットボトルを回収する際に、ラベルとキャップを外してもらうよう呼び掛けているのですが、JEPLANさんとの取り組みを始めて以降、ラベル・キャップが付いたまま出されることが減ってきたように思います。市民の方々に、「釧路市でペットボトルのリサイクルが進んでいる」ことが認知され、「じゃあ分別はどうしたら良いのだろう?」と、僕らのほうに聞きにきてくださることも増えました。さらにペットボトルだけではなく、ビンや缶、古紙といった他の資源物のリサイクルについても意識していただき、きちんと分別して回収に出していただけるようになったことは、とても喜ばしいです。

─ 他のゴミに対しても意識が変わってきているというのは驚きました!

 

上平 僕らも「そうなってほしい」という期待は抱いていましたが、実際に市民の方々の行動となって表れたのは本当に嬉しかったです。市役所から通知があると、どうしても「なんだ?」と思われることが多いのですが、「リサイクル」という明るい話題を発信できたことが、皆さんの心に留まったのではないかと思います。けれども、いつも同じことをやっていると飽きられてしまうので…。常に新しいことを発信し続けなければと考えています。

─ JEPLANのハチマークがプリントされたリサイクルボックスが、市内で広まっているとのことですが、市民の方々からはどのような反応がありましたか。

 

上平 見慣れないハチのマークが貼ってあることで「なんだろう?」と興味をもっていただくことが、最初の一歩だと考えています。そこからQRコードを読み取って、釧路市のリサイクル活動について知っていただき、自分でも分別回収を実践していただき、それが当たり前のこととして根付いてくれることが理想です。今、市内には3,500の資源物ステーションがあります。家庭でペットボトルを捨てる際の回収袋にもハチのマークを入れることができないか、目下検討中です。

街を歩いていると、いろいろなところにBRINGのハチマークが貼られた回収箱を見つけました。

街を歩いていると、いろいろなところにBRINGのハチマークが貼られた回収箱を見つけました。

釧路市湿原展望台には環境への取り組みを伝えるパネルがあり、そこにもハチのマークが!

釧路市湿原展望台には環境への取り組みを伝えるパネルがあり、そこにもハチのマークが!

─ 北海道ならではですが…冬場のゴミ回収は大変ではないでしょうか。

 

上平 実は釧路は、雪がそんなに多くないんです。それでも雪が降った時、除雪車が走っているので回収場所に行けないことはあります。コンテナに雪が積もってしまったり、資源物ステーションの周りを除雪したり、やっぱり冬は大変です。東京のような2~3cmの積雪は、どうってことないですけどね(笑)。

─ 今後、JEPLANとともに歩んでいくなかで、取り組みたいことはありますか。

 

上平 環境教育には力を入れていきたいです。子どもたちには、正しく分別をして、ゴミを捨てることを身につけて、大人になってもらいたいです。そしてその子たちが親になって、自分の子どもに分別を教えることができれば、それが次の世代、次の世代へと受け継がれていく…。そうやって、リサイクルが当たり前の世の中になってくれたらと願っています。一方で、今の大人世代へのアプローチが弱いのが課題です。情報を見聞きするだけではなく、実際に工場を訪れて、ゴミ処理の現場を見ていただくことが、分別やリサイクルにつながると考えているのですが、自分の時間を割いてまで来ていただくのはとても難しいです。夏休みに親子で参加できる、施設見学ツアーを開催したり、Instagramでゴミの捨て方についての豆知識などを発信したり、課全体でアイディアを出し合って行っています。

 

釧路市環境事業課の上平さん

上平 またペットボトルだけではなく、衣類の回収・リサイクルも始められたらと思っています。取り組みの幅を広げ、「環境都市くしろ」を、市内外の方々にもっと周知していきたいです。そしてゆくゆくは、ケミカルリサイクルの工場が釧路市に来てくれることを目指しています。

─ 最後に、釧路市の観光スポットを教えてください。

 

上平 釧路市の夏の平均気温は20度前後です。道内の他の都市と比べても、かなり涼しいほうだと思います。夏は避暑地としての釧路を体感しにきていただきたいです。観光地としては、まずは釧路湿原、阿寒湖、摩周湖の二つの国立公園、新鮮な海産物が集まる「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」や「和商市場」、幣舞橋から見る夕日など、釧路ならではの場所をたくさん見てほしいです。

釧路湿原

釧路湿原

釧路フィッシャーマンズワーフMOO

釧路フィッシャーマンズワーフMOO

上平 秋口には山からエゾシカが下りてきて、市街地で見られることもあります。街中でキツネを見かけることは珍しくありません。それくらい自然に近い街であり、自然があってこそ釧路の産業は成り立っているのだと感じています。これからも自然とともに生きていくという意識を持ち、環境を守る活動に力を入れていきたいです。

圧縮梱包されたペットボトルの前で両手を広げる上平さん

JEPLANは日本全国の様々な自治体と連携し、「ボトルtoボトル」のさらなる普及のために活動を行っています。あなたが住んでいる街は、どんなリサイクルに取り組んでいるでしょうか。是非一度、自治体のホームページなどを見て調べてみてくださいね!

BRINGが行う「ボトルtoボトル」リサイクルについて

詳細はこちら

https://bringbottle.jeplan.co.jp

 

お問い合わせはこちら

https://bringbottle.jeplan.co.jp/contact

取材:山城美聡

執筆:熊沢紗世

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