【リサイクル工程のトレース 第3弾】BHETがポリエステル樹脂になる場所へ|株式会社ベルポリエステルプロダクツ

2026.3.23

BRINGは様々な回収拠点で服などを回収し、リユース・リサイクルを行なっています。

 

一般的なリサイクルでは、「どの使用済み製品が、どの原料や製品に生まれ変わったのか」を特定することは、ほとんど不可能です。例えるなら、海に流した水が蒸発し、どの雨粒になって降ってきたかを特定するようなもの。

 

しかしBRINGB2B向けサービス「BRING Your Own」では、それを可能にしています。

 

20254月〜6月に高尾山の「BRING CIRCULAR TAKAO」やオンラインストアを通じて回収された衣類の一部が、新しい服の原料へと生まれ変わる――その工程を、HIVE by BRING追いかける本連載。

1では服の回収と分別、2ではケミカルリサイクルによって衣類がBHET (テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)という中間原料になる工程を紹介しました。

A display of assorted clothing items in a retail store.

BRING店頭で実施されている衣料品回収。

そして今回、第3弾。

訪れたのは、山口県の株式会社ベルポリエステルプロダクツBHETが、再生ポリエステル樹脂へと重合される現場を訪ねました。

Person in a light blue work shirt sitting on a couch.

株式会社ベルポリエステルプロダクツ 常務取締役 勝間啓太さんにお話を伺いました。


BHETからポリエステル樹脂を重合するとは?

BHETは、ポリエステルを分子レベルまで分解して得られた物質。いわば切れた鎖のコマのような状態です。このBHET同士をもう一度繋ぎ、長い分子鎖のポリエステルに戻すのが「重合」と呼ばれる工程です

 

ベルポリエステルプロダクツでは、今回BRINGから届いたBHETを小ロットの製造ラインに投入し、再生ポリエステル樹脂を製造しました。

 

ここで行われる「重合」という工程は、一般的なポリエステル樹脂の製造でも用いられるプロセスです。BHETのような中間原料を加熱し、分子同士をつなぎ合わせて長いポリエステル分子へと戻していきます。こうして粘り気のあるポリエステルの溶融体ができ、それを押し出して冷却し、最終的にペレット(粒状の樹脂)に加工されます。

 

このペレットが、糸やフィルム、容器など、あらゆる製品の出発点になります。 

ニーズに合わせて特性を付与する、ベルポリエステルプロダクツの共重合

ベルポリエステルプロダクツが提供するのは、「共重合(コポリエステル)」という技術を用いて作られたポリエステル樹脂。その名も「ベルペット」。

 

通常ポリエステルは、「エチレングリコール」と「テレフタル酸」という2つの構造で成り立っています。対してコポリエステルは、用途に応じて第三・第四の成分を組み合わせ、優れた特性を持たせたポリエステルです。

 

共重合により付与できる特性

  • 透明性を高める(結晶化を抑え、白濁しないようにする)
  • 耐薬品性を持たせる。(化学薬品に触れても劣化しににくする
  • 耐衝撃性を持たせる。(割れにくくする)
  • ガスバリア性を持たせる。(気体を遮断し、湿気による劣化を防止する) 

 

の技術によって作られる樹脂は、化粧品容器や目薬容器、スーパーのプライスレール、インバス用品、文具など、身の回りの製品を始め、自動車、工業用部材など様々な用途使われています。

 

ベルペットで作られた化粧品容器を見せていただきましたが、見た目はまるでガラスのように透明で、光沢感がありました。それでいて割れにくい、確かな耐久性も備えています見た目の美しさが重視される化粧品業界で、長く容器として採用される理由がここにありました。

ベルペットで作られた化粧品容器。ドラッグストアなどでもよく見かける形です。

近年は優れた特性を保ちつつ、使用する原料の一部を石油由来原料からバイオマス由来原料に置き換えた「バイオペルペット」、ケミカルリサイクルで作られた原料BHETを用いた再生共重合PET樹脂など、環境に配慮した製品づくりにも取り組んでいます。

A person holding a brown envelope with text on it.

ケミカルリサイクルで作られた原料は、JEPLANのグループ会社であるペットリファインテクノロジーから届いている。

さらに透明性を高めるために結晶化を抑えたことが、作られた製品のその後のリサイクルにも利点になっています。結晶化しないということは、分子構造が緩やか分解しやすいということ。つまり、BRINGの工場が持つようなケミカルリサイクル技術を用いれば、分子レベルまで分解され、新たな再生共重合PET樹脂へと生まれ変わらせることが可能です。

BYO企画のBHETから、再生ポリエステル樹脂が作られる。

今回、BRINGのラボからベルポリエステルプロダクツに送られたのは、精製され、不純物などが取り除かれたBHETのかたまりです。

Cubes of white sugar in a clear plastic bag.

ラボから送られてきたBHETのかたまり。

それを砕き、添加剤(酸化チタン)とともに重合プラントへ投入。22.9kgの再生ポリエステル樹脂が完成しました。

A close-up of small white granules or pellets.

完成した再生ポリエステル樹脂。 

この樹脂が、やがてBRINGの店頭に並ぶ服の一部になるかもしれません。

回収された衣類がBHETへと精製され、再重合によって樹脂となり、再び製品へと生まれ変わる。その過程を、今後もHIVE by BRINGとともに追いかけていきましょう。


【NEXT ACTION】 

見えない場所で行われがちなリサイクル。

けれど今回、その見えない工程を確かに見ることができました。

 

ぜひみなさんも、身の回りの製品がどこまで工程を公開しているのか、少しだけ意識してみてください。

 

そしてBRINGの衣料品回収にも参加していただけたら嬉しいです。

あなたの一着が、リサイクルの旅をして、再びあなたのもとに帰ってくるかもしれません。

株式会社ベルポリエステルプロダクツ
ウェブサイト

https://www.bellpet.co.jp/

 

BRINGの衣料品回収について

https://bring.org/pages/recycle

取材・執筆:熊沢紗世

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