Giant robot statue against a clear blue sky.

既に宇宙世紀は始まっている!?ガンダムと未来技術が描くサステナブルな世界。

2025.12.25

── 人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。

これは、ガンダムシリーズ1作目となる『機動戦士ガンダム』1979年放送の第1話冒頭で流れるナレーションです。物語の舞台は、地球の人口増加を解決するため宇宙に巨大なスペースコロニーを建設し、多くの人々が移住した未来。作中では、この宇宙移民政策が始まった年を「宇宙世紀元年」と定めています。

A decorative bird sculpture surrounded by greenery and people in the background.

大阪・関西万博のGUNDAM NEXT FUTURE PAVILIONに展示されていたスペースコロニーの模型。

ガンダムは、巨大ロボット(モビルスーツ)を“兵器”として描くことで、戦争の悲惨さや虚しさを真正面から描いた作品です。戦争に翻弄されながらも成長する少年少女の姿は多くの人々の胸を打ち、放送から45年以上経った現在もなお、幅広い世代に愛されています。アニメ、映画、ゲーム、漫画など多岐にわたるメディアで展開され、特にプラモデル(ガンプラ)は世界中のファンに愛されるカルチャーとなりました。

A detailed model of a colorful robot figure on display.

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場するGQuuuuuuX(ジークアクス)。

Colorful model figures displayed in a glass case with a starry background.

使用済ランナーケミカルリサイクルして原料の一部として活用したガンプラも登場。


BRINGとガンダムの繋がり。

ガンダムの世界観を取り入れたアパレルショップ「STRICT-G」では、BRINGのアパレルライン「BLANK™ APPAREL」とのコラボレーションアイテムを販売しています。今年5月には、ガンダムシリーズ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のメインキャラクターであるマチュ、ニャアン、シュウジをモチーフに、タイトルロゴをワンポイントであしらったドライTシャツが発売されました。

Two T-shirts displayed, one black and one white, featuring different designs.

このTシャツには、工場の繊維くずや古着をリサイクルして作られた再生ポリエステル「BRING Material™」を使用しています。さらに着用後はBRING™の回収プラットフォームを通じて回収でき、資源として新たな用途へ循環させられます。

「STRICT-G × BLANK」販売サイト:
https://www.strict-g.com/collaboration/bring/

さらに2018年には、BRING × BANDAI SPIRITS × THEATRE PRODUCTSの協同企画として、ガンプラの成形時に生じる端材を一部再利用したアクセサリーを販売しました。

Various hair accessories and lip products arranged on a white background.

このアクセサリーは、1つのキットでピアス(イヤリング)からブレスレット、ネックレス、キーホルダーへ組み替えられる仕様で、パーツの色や長さを変えることで108通りのバリエーションを楽しめるアイテムでした(現在は販売終了)。


ガンダムオープンイノベーション(GOI)成果発表会レポート 

2025年11月18日・19日の2日間、東京・お台場の日本科学未来館にて、バンダイナムコグループの横断プロジェクト「ガンダムプロジェクト」が推進するサステナブルプログラム『ガンダムオープンイノベーション(GOI)』の成果発表会「GUNDAM OPEN INNOVATION 2021–2025 ~GOI PROJECT REPORT~」が開催されました

Information display featuring characters and text about a space-themed exhibit.

ガンダムは「架空のSF世界」を超えて、人類が直面する人口・環境・宇宙進出といった社会課題に対し“未来への問い”を投げかけてきました。GOIは、そのガンダムの世界観を出発点に、先端研究機関や大学、企業が連携し、現実の技術開発へ挑むプログラムです。

2021年7月にパートナーの公募を開始し、これまで15チームが採択され、2023年から4つの公認プロジェクトが始動しました。

今回の成果発表会では、4年間の活動をパネルで紹介するほか、プロジェクトメンバーによる基調講演、実際に使用した研究機材や試作品の展示などが行われました。イベント1日目である11月18日の基調講演を聴いた筆者が、特に印象に残った2つのプロジェクトをご紹介します。

「宇宙で暮らす宇宙世紀を創る」  

── TEAM SPACE LIFEプロジェクト | 木村真一(東京医科大学 スペースシステム創造研究センター)

近年、有人宇宙活動は月・火星へと広がり、宇宙居住は“SFではない未来”になりつつあります。NASAは、宇宙居住における主要課題として以下の5つを挙げています。

  • 低重力への適応(筋骨格系への影響) 

  • 孤立(長期間の隔離による精神面への影響) 

  • 閉鎖環境の維持(水や空気を綺麗にし、環境を維持する) 

  • 宇宙放射線(長期間被曝することによる影響) 

  • 物理的な距離(食糧や物資の生産・循環を維持する) 

TEAM SPACE LIFE」は、ガンダム作品に登場するような「人類が宇宙で暮らす未来」を見据え、「居住空間の実現」「快適な環境の制御」「サステナブルな資源循環」を中心に、技術開発に取り組んでいます。水や空気、エネルギーが限られる宇宙空間で人類が生活するために必要なこれらの技術は、地球上の限りある資源を大切にしながら幸せに暮らすための技術にも繋がります。

Display board for

2025年4月21日、ガンダムカラーの環境センサー「TEM」がロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)での動作実験に成功しました。TEMは、CO₂濃度・温湿度・匂い成分を計測するセンサーで、Wi-Fiネットワークを通じて地上にデータを転送することもできます。

Display of a sensor labeled

この計測データにより、クルーの呼気による二酸化炭素の広がり方をシミュレーションできれば、地上・宇宙・月面など重力の違いによる空気環境の差を予測できるようになると期待されています。

ビーム・サーベルで農業!未来のプラズマ農業とは?  

── ビーム・サーベル〜プラズマ農業プロジェクト | 金子俊朗(東北大学

ガンダムに登場する光の剣「ビーム・サーベル」は、高密度な粒子によって形成される架空の武器です。ビーム・サーベルを現実の技術に置き換えて平和利用するとしたら…。そんな発想から、大気圧プラズマ技術を農業分野に応用するプロジェクトが生まれました。

Gundam model with sword, sign explaining its features in Japanese.

従来、プラズマは真空中でしか維持できませんでしたが、近年の技術革新により空気中でも安定的に維持できるようになりました。さらに、人や植物に触れても熱くない安全な制御が可能です。

プラズマには、 

  • 植物の成長促進 

  • 免疫力向上 

  • 化学肥料・農薬の削減 

などの効果が見込まれています。

「プラズマ農業プロジェクト」は、イチゴ・バジル・イネの栽培にプラズマ技術を応用した実験や、プラズマ活性ガスの噴霧による成長促進試験を行いました。その結果、イチゴは赤みが増加、バジルはリラックス効果が向上し、さらにイネは月面の模擬土壌(レゴリス)でも生長するなど、未来の「宇宙農業」の可能性を感じさせる結果に。
Display of plant growth products on a table with informational signage.

このプラズマ技術と自然エネルギーのみで稼働する次世代農業「サステナブルファーム」の実証にも取り組んでおり、宇宙空間での食糧生産だけでなく、地球上の食糧問題解決に対する現実的な解決策の1つとして期待が高まっています。


このイベントに参加し、人類が宇宙で暮らす「宇宙世紀」は、決して遠い未来の夢物語ではないのだと感じました。宇宙で生きるための技術は、地球上の限られた資源をどう循環させ、どう持続可能な暮らしを作っていくかという課題と地続きです。

GOIの活動は2025年度で終了しますが、個々の参加チームの研究はこれからも続きます。 
ガンダムが投げかけてきた「未来をどう生きるか」という問いに対し、私たち一人ひとりがどういった答えを出すのか。それを考えることも、宇宙世紀への第一歩なのかもしれません。

【NEXT ACTION】  

限られた資源の中で生きていかなければならない宇宙で、 
どんな「循環」が必要になるか考えてみよう。

GUNDAM OPEN INNOVATIONウェブサイト

©創通・サンライズ
取材・執筆:熊沢紗世

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