BRING店頭のカラフルなホズバッグ

INTERVIEW09 パラグライダーのアップサイクルを実現。亀岡から世界へ飛び立つHOZUBAG | 武内昭

2024.7.12

20244月~5月にかけて、BRING CIRCULAR TAKAOHOZUBAG(ホズバッグ)のポップアップイベントを開催しました。

ホズバッグとは、京都府亀岡市を拠点とし、パラグライダーの回収・アップサイクルを行うブランドです。BRING直営店でも常時取り扱っているブランドで、一つ一つカラーや組み合わせが異なるバッグは、自分用にも、お土産としても大変人気のアイテムとなっています。

ポップアップイベントでは、BRINGとの初のコラボレーションアイテムとして、PARAGLIDER POCKET T-Shirt.“TAKAO” Back Print T-Shirt.をはじめ、アウトドアで使えるアイテムを多数販売しました。(一部商品は現在もBRING CIRCULAR TAKAOまたはBRINGオンラインストアで販売中です)

HOZUBAG×BRING PARAGLIDER POCKET T-Shirt.

HOZUBAG×BRING PARAGLIDER POCKET T-Shirt.

今記事では、HOZUBAG代表の武内昭さんに、立ち上げの経緯や地域の人々との関わりについて伺いました。


継続的な取り組みで、パラグライダーのアップサイクルと向き合う。

ホズバッグが生まれたきっかけは、2019年、「かめおか霧の芸術祭」の一環で行われた、エコバッグの啓蒙イベントだったそうですね。

 

武内 亀岡市は環境問題などの社会課題に積極的に取り組んでいる自治体で、2018年には「プラスチックごみゼロ宣言」を発表しています。その一環として、不要になったパラグライダーを活用して、エコバッグの使用を促進するイベントの依頼を受けました。亀岡といえば「保津川下り」が有名ですが、実はパラグライダーに適した地形でもあるんです。市内にパラグライダースクールがあり、上空を飛ぶ姿を見ることもできます。

イベントではまず、パラグライダーのパッチワークで作った大きなバッグを亀岡駅前にクレーンで吊り上げるインスタレーションを行いました。

パラグライダーのパッチワークで作った大きなバッグを亀岡駅前にクレーンで吊り上げるインスタレーション

その後、インスタレーションに使用した大きなバッグから参加者が好きな部分を切り抜いてエコバッグに縫い上げるワークショップを開催し、これから始まるプロジェクトを市民の方々に知っていただくキックオフイベントとしました。

大きなバッグを切り抜いてエコバッグに縫い上げるワークショップ

プロジェクト立ち上げにあたり、亀岡市に工場を作られたのはなぜでしょうか。

 

武内 依頼を受けて最初に思ったことは、一過性のイベントに終わらせたくないということでした。本質的に何かを変えていく方法を探し、悩んでいたら、「工場を作れば良いんだ」というとてもシンプルなアイディアが浮かんだのです。パラグライダーには寿命があり、使えなくなったパラグライダーはゴミとして捨てられるか、自宅に保管されていることがほとんどです。亀岡に拠点を作り、継続して回収・製品作りを行う流れができれば、行き場のないパラグライダーが行き着く場所を作ることができると考えました。

拠点整備のための資金は、「クラウドファンディング型ふるさと納税」で集めました。目標金額を大きく超える寄付が集まり、亀岡に拠点を持つ、持続的な事業としてスタートすることができました。

ホズバッグの拠点となる工場

拠点となる工場は、市内の古民家を改修して建てられた。

工場では、何名の方が働いていらっしゃるのですか。

 

武内 現在は8名です。パラグライダーが届いて、それを解体し、洗って、裁断、縫製していく作業は全て手作業になります。事業として続けていくためには、地域の方々が主体性を持って働けることが大切です。地元の方々が、誇りに思っていただけるようなブランドになりたいんです。また今後は、福祉的雇用も実現させたいと考えています。

ホズバッグの工場で働く方の手元

そのほかにも、地域の方々と接する機会はありますか。

 

武内 亀岡市が募集する「エコウォーカー」に登録すると、ホズバッグがプレゼントされ、登録した方々はそのバッグを身につけ、街を歩きながら、ゴミ拾い活動を行ってくださっています。ホズバッグの一番の強みは、つい手に取ってしまうような、自然と生まれるデザイン性があることだと思います。サステナブルな背景で作られたものであるという価値の前に、「このバッグが欲しい」と思ってもらえるような魅力があると感じています。

ハンドバッグサイズのホズバッグを肩に掛けている

亀岡から日本全国へ。そして世界へと広がる循環の輪。

BRINGのお店でも、お土産として買っていただくことが多いです。

 

武内 高尾山の麓にホズバッグがあって、そこで亀岡のことを知ってもらえるのはとても良いことだと思います。新しい場所で繋がりが生まれ、大きな渦となって、この活動を広げていくことができるのだろうと実感しています。

今回のBRINGとのコラボレーションアイテムも、お土産需要がありそうなラインナップですね。

 

武内 ライトなアウトドアに合うアイテムを作りたいと思い、ピクニックシートにも、バッグにもできる風呂敷を作りました。高尾山にピクニックに行くときに、ちょうどフィットするようなアイテムです。バックプリントTシャツには、「FAMOUS PLACE OF TAKAOZAN 武州高尾山 山中の老杉」とタイトルがついた昔のポストカードの写真を使用しています。昔のデータをプリントすることで、Tシャツの素材だけではなく、高尾山にまつわる情報もアップサイクルするようなイメージで作りました。

HOZUBAG

HOZUBAG "FLAG FUROSHIKI"

HOZUBAG×BRING “TAKAO” Back Print T-Shirt.

HOZUBAG×BRING “TAKAO” Back Print T-Shirt.

これから、ホズバッグとして取り組んでいきたいことはありますか。

 

武内 循環の流れをより大きくしていくことが目標です。世界中にパラグライダーは飛んでいるので、いずれは国外にも広げていかないと意味がないと感じています。ホズバッグが持つ価値はグローバルに通用し、世界に認められるブランドになると確信しています。また、目の前の目標だと、パラグライダーの機体部分とコードはアップサイクルできていますが、残ってしまう骨組み部分などの活用方法もこれから考えていきたいです。

地方から世界に展開する、ホズバッグの今後が楽しみです。亀岡に行く機会があれば、是非工場にもお伺いします!

 

武内 ようやく工場が整備できたところなので、これから地域に向けたイベントやワークショップを始めていきたいねと、スタッフとも話しています。京都市内の観光だけでなく、亀岡にも足を延ばしてもらいたいです。ただ、実際のところ私たちの受け入れ態勢が整っていないことが課題なので、今後何年かかけて、ホズバッグの工場を観光の拠点にしていければと思っています。

ホズバッグ代表の武内昭氏

BRING直営店にお越しの際は、ホズバッグやBRINGとのコラボ商品を手に取り、サステナブルなアイテムを気軽に日常に取り入れていただければと思います。

そしてそれを携えて、是非一度、自然豊かな亀岡の街を訪れてみてはいかがでしょうか?

オンラインストアでご購入いただけるアイテム

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HOZUBAG ウェブサイト

https://www.hozubagmfg.com

武内昭

株式会社HOZUBAG代表。1976年生まれ。エスモードジャポン卒業後、株式会社コム デ ギャルソンのパタンナーを経て、2001年シアタープロダクツ設立。京都芸術大学空間演出デザイン学科准教授。フラワーショップ「ディリジェンスパーラー」ファウンダー。一般社団法人きりぶえ理事。

取材・執筆:熊沢紗世

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