株式会社JEPLANのグループ会社である、ペットリファインテクノロジー株式会社(以下、PRT)は、神奈川県川崎市の臨海部に拠点を構えています。PRTでは独自のケミカルリサイクル技術を用い、使い終わったペットボトルを、新しいペットボトルの原料へと生まれ変わらせています。
【ボトルtoボトル】独自のケミカルリサイクル技術で、ペットボトルを、もう一度ペットボトルに。| ペットリファインテクノロジー株式会社
2025.9.9
皆さんは、ペットボトルが「ペット(PET)ボトル」と呼ばれる理由をご存じですか。「PET」というのは、プラスチックの一種である「ポリエチレンテレフタレート」という樹脂の頭文字「P・E・T」を取ったもので、このPET樹脂から作られる容器をペットボトルと言います。
それでは、ペットボトルのリサイクル工程を見ていきましょう。
市町村でのペットボトル回収から、PRTへの搬入まで。
皆さんが使い終わったペットボトルは、まず市区町村の回収ルートを通じて集められます。
回収されたペットボトルは、まず中間処理場で、缶や瓶などの異物を取り除き、圧縮して梱包されます。この圧縮されたかたまりを「ベール」と呼び、 これによって保管や運搬がしやすくなります。
ラベルやキャップを取り除き、PET素材のみのフレークを作る。
ベールになったペットボトルは、次の中間処理場に運ばれます。そこで、ベールはほぐして機械に投入され、残っていた缶などの異物を取り除いた後、細かくカットされます。この細かくなったものを「フレーク」と呼びます。
フレークにはラベルやキャップが混ざっているので、以下のように分離します。
①質量の軽いラベルは、風の力で吹き飛ばして分離します。
②キャップは、水に浮く性質を利用して、水に沈むペットボトル本体と分離します。
こうして、PETフレークだけが選別されます。
ケミカルリサイクル技術で、微細な異物も取り除く。
PRTにはPETフレークが運び込まれ、専用の保管サイロで保管されます。
ここからがPRTの強みであるケミカルリサイクルの工程です。これは、ペットボトルを化学的に分解して、PET樹脂に再生する技術です。
まず、PETフレークを加熱して溶かします。溶かしたPETと、「エチレングリコール」という物質を混ぜた溶液を一定時間、高温で反応させることで、PETを構成するテレフタル酸の両側にエチレングリコールが結合し、「BHET」という分子に分解します。
その後、以下のような工程で不純物を取り除きます。
①キャップやラベルのインクや塗料などを、活性炭に吸着させて除去します。
②ペットボトルの製造に使用された金属触媒などを、イオン交換樹脂にくっつけるようにして取り除きます。
③冷却・攪拌(かくはん)しながらBHETの結晶を育て、最後にプレスして、エチレングリコールを取り除きます。
こうして取り出したBHETのかたまりを「ケーキ」と呼びます。
取り出したケーキを再び加熱・蒸留し、高純度のBHETを生成します。この方法により、他のリサイクル手法では取り除けない微細な異物も除去でき、安全性の高いPET樹脂を製造することができます。
再びPET樹脂へ、そして新しいペットボトルへ。
生成した高純度BHETを加熱・攪拌して分子をつなぎ直し、再びPET樹脂に戻します。
液状の樹脂は冷却され、パスタのように細長く押し出されてから粒状にカットされます。
この粒をさらに加熱・攪拌(かくはん)し、高温の窒素ガスの中に入れ、乾燥させます。乾燥した粒を反応温度まで熱し、再度窒素ガスの中に入れ、一定の温度と時間をかけて最終製品に仕上げていきます。
最後に冷却し、再生PET樹脂の完成です。
完成したPET樹脂。
完成したPET樹脂は1トン単位で袋に梱包され、出荷されます。
PRTで製造されたPET樹脂は、石油から作られる新品の樹脂と同程度の品質を持っており、安心して飲料用ペットボトルに使うことができます。これにより、「ボトルtoボトル」の水平リサイクル、つまり使い終わったボトルが新しいボトルに生まれ変わる、循環の仕組みを実現しているのです。
今回は、PRTのケミカルリサイクル技術をイラストとともにご紹介しました。ケミカルリサイクルでは微細な異物まで除去することが可能ですが、皆さんがペットボトルを回収に出す際にラベルとキャップを外し、中を水ですすいでいただくことで、より効率的にリサイクルを進めることができます。
また、スーパーやコンビニなどの店頭で、ケミカルリサイクルで再生されたペットボトルを見かけることも増えてきました。 その中には、PRTでリサイクルされた再生PET樹脂が使用されている製品もあるかもしれません。 是非手に取って、その品質を確かめてみてくださいね!
ペットリファインテクノロジー株式会社
JEPLANのボトルtoボトル事業について
執筆:熊沢紗世
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