【比較レビュー:BRING高輪】 新企画・ワンダーおじさんの「勝手に言わせてvol.1」秋冬ミドルレイヤー考
10月は気温があまり下がらず、汗ばんだ1か月を過ごした方も多いのではないだろうか。
かくいうワンダーオジサンことワタシも、大阪万博の閉幕ギリギリに訪れた際は、ジリジリと日差しが照り付けて半袖短パンサンダルスタイルを崩すことができなかった。
そんな暑さもやっとこさ終わりを迎えようとしているし、なんなら一気に冬が来るんじゃないかとドキドキしながら店舗に立っているのだが、気温が下がってきて着るものを考えなければならなくなってきたことも感じているのだ。

左:2022年11月 中央:2024年11月 右:2025年11月
のワンダーおじさん
こんなしがないオジサンが「今年の秋冬何着ようかな?」なんて考えているくらいなのだから、普通のみなさんは当然お悩みに違いない。
ということで、こんなワンダーオジサンが持っているミドルレイヤーについて、
なんのアイテムが、どんな時に着ていくのが”適解”なのか、公式HPでわざわざやることじゃないだろ!とツッコミを予想しつつも書いてみることにした。(あえて「最適解」というのは避ける。なぜならあくまでも個人の見解だからだ!正解は自分でみつけるのだ!わっはっは!)
ワンダーオジサンのステータスはこうだ。
・身長 167cm
・体重 78kg
・ウェスト たぶん90~100cmの間
・チェスト 無駄に広い。100cm以上あるのではないか?
・体型 アマチュアレスラー型
・服を選ぶ基準 おなかにやさしいかどうか
こんな感じだ。参考になる人はきっとこの世の片隅にそっと存在していると信じている。
ワタシの所有しているミドルレイヤーは下記の通り
①マウンテンハードウェア エアメッシュクルー (M)
帝人フロンティア株式会社の Octa® オクタ® を使用
②アトリエブルーボトル アルファフーディ (XL)
ポーラテック社のアルファダイレクト60を使用
③BRING WUNDERWEAR シームレスフーディ (L)
再生素材のBRING Material™とメリノウールを組み合わせた生地(ポリエステル30%/ウール70%) を使用

この3種類をミドルレイヤー(中間着)として検討している。
ちなみにこのラインナップを見て「オクタもアルファも知ってるし、ワンダーウェアはどうせ気持ちいいって言うんだろ?知ってるよ。」という人はすぐさま読み進めるのをやめて、日本の未来のためになることに励んでくれ。この記事を読むよりも登山道整備にでも時間を使ったほうが、よっぽど実りある時間になるだろう。
①マウンテンハードウェア エアメッシュクルー (M)
言わずと知れたアルパインブランド、マウンテンハードウェアの商品。
3年前に登山を始めたばかりで購入したものだ。
まずは着用感をみてみよう。
せなか左上になにかあるが、ペンキだから気にするな。背中は丸い。丸いものだ。

右胸下あたりにも白い何かが見えるがペンキだから気にするな。
帝人フロンティア社のオクタCPCPという素材をそのまま服にしたものだ。
ミドルレイヤーの中でも”アクティブインサレーション”とカテゴライズされるものらしい。(あくてぃぶいんされいしょん?ってなに?という疑問に関しては、ぜひWEB検索して解決してほしい。ここではカツアイさせていただく。)
Mサイズでもある程度のゆとりがあるので、動きに問題はない。
生地は決して伸縮性に優れているわけではないので伸び伸びストレッチ感は期待しないほうがいいが、少しのストレッチはするので安心して大きな動きをして大丈夫だあ。

表側。メッシュ状になっていて見た目から通気しそう。水蒸気という汗を放出しまくってしまうワンダーオジサンはうれしい。

裏面。起毛していて見るからにあったかそう。
3種類の中で、もっとも「吸水速乾性」が高いのがこのオクタのロングスリーブだと感じている。
ワタシは外仕事もするのだが、真冬にTシャツの上にこのオクタを着て作業をしていたら、風が吹いたら一気に汗が乾いてさわやかになるのをよく感じている。と同時に注意すべきはその速乾性の高さゆえの冷え感だ。
通気性、速乾性ともに高いこの記事は、風に吹きっさらしになってしまうとこのモフモフもあたたかさを失うくらい通気する。
速乾性が高いということは、気化熱による熱の放出も早いということだ。
今回比較する3種類の中でも(あくまでワタシの肌感覚だが)もっとも風による冷えを感じやすいのはこのオクタの長袖だ。
しかし、表地がつるんとしていて起毛していない点において、重ね着に最も適しているのもこのオクタだ。マジックテープなどがついても気にならない。ある程度の枝や飛び出たなにかに対するひっかけには3種類の中ではもっとも強いと思う。
メリット:ひっかけに強い、マジックテープもOK
デメリット:乾き早すぎて風のよる冷えにきをつけろ
②アトリエブルーボトル アルファフーディ (XL)
つづいてポーラテック社のアルファダイレクトという素材を使用した一着。
早速ワンダーオジサンが着たところをおみまいしてやろう。

漢は背中で語る。

漢はお腹でも語る。裸に着ているわけではない。オレンジのTシャツの上に着ているからだ。勘違いするな。
アルファダイレクトはごらんのとおり、「スケスケ」だ。①のオクタよりも穴が広いということがすぐわかるだろう。
だがしかし!こんなすけすけなのに「保温着」ってどういうことなのよ?

見よ!このフワフワちゃんを!太めの毛羽たちがこんなにもかわいく立ち並んでいる。だからあったかい。
アルファダイレクトの特徴は起毛の高さだろう。
写真の通りだが、オクタよりも毛の高さがある分、身体と生地の間の空気が増える(デッドエアーというらしい)。
しかもこの生地は表も裏も変わらず、このフワフワちゃんが存在している。

ウラもフワフワ。つまり、フワフワしているということだ。
肌面にこのフワフワがあたるのがとても心地よい。オクタと比較してしまうと、正直肌触りはこちらのアルファダイレクトに軍配が上がる、と勝手に思っている。 もうフワフワして、気持ちもフワフワしちゃうくらいだ。
ワタシが所有しているこちらのアトリエブルーボトルのアルファフーディは、アルファダイレクトの中でも「60」というもっとも薄手の番手を使用している。
アルファダイレクトの中でももっとも保温力は低いが、暑いのがキライなオジサンことワタシはこれくらいがちょうどよい。
肌ざわりもよく、保温性もちょうどよ良い。
じゃあこれ一択じゃないか!
と早合点は文字通り早い。
アルファダイレクトの弱点は生地の弱さだ。

マジックテープのよるひっかけでほつれたフワフワの繊維。アップしてみていただくとわかりやすい。
写真の通り、ほつれやすいったらない。そしてマジックテープにくっつきやすい。
もともと穴が開いているような生地なので、正直ワタシは気にせず使っているが、ピロピロとほつれが出ていてだらしがない服なんて着られないわ、という方も中にはいらっしゃるだろう。
特に冬のアクティビティ(もちろん日常もだが)においては、何かと重ね着が増えるのが必然だし、そうすると何かしらの衣類にマジックテープやジッパーなどが使われる可能性がぐぐぐっと高まる。
またはアルファダイレクトを一番上に着ていたとしても、その上にバックパックを背負ったところを想像してご覧なさい。行動中には肘、袖部分にバックバックのショルダーハーネスやウェストハーネスがこすれたり、サコッシュから何か取り出す、などの動作でマジックテープにどうしても触れる機会がたくさんあるのだ。
ただ、どんなにほつれたとしても、保温性は確かだ。この上にウインドシェルでもいいし、なんなら通気性の良いシャツを羽織ったとしても、ほんわか温かさを感じることができるのがアルファダイレクトのよいところ。ここを踏まえて使いどころを見出すのが肝だろう。
メリット:フワフワで肌当たり良い。あたたかい。
デメリット:マジックテープなどに弱い。ほつれやすい。
③BRING WUNDERWEAR シームレスフーディ (L)
再生素材のBRING Material™とメリノウールを組み合わせた生地(ポリエステル30%/ウール70%)
最後は①②とはちがって、ポリエステル100%ではなく、ウールと混紡された生地。ワンダーオジサンの「ワンダー」はこの生地のことを言っているといっても過言ではない。

背中の丸さで勝てると思った人はぜひ高輪店に来てください。

3種類の中では一番穴が開いてないように見える。スキのなさをアピールした表情に見えるかもしれないが、必死に決め顔しようとしている瞬間である。
WUNDERWEARは3種類の中でも最も目地の詰まった生地になっているように感じている。
でこぼこした生地が「デッドエアー」を作り出すため、こちらもほんわーとあたたかい。
ほかの2種類と決定的に違うのは「ウール混」だということ。
ウールの良さは、なんといっても肌ざわり・質感だ。
あれ?②でも肌当たり良いとか言ってたな?
正直、②<③だ。
これはどうやったって[ウール]vs[ポリエステル]なわけだから、肌当たりに関してはウールに軍配だ。
「ちくちくするんじゃないのお?」というご質問(というか「ご疑念」)は多くいただくのだが、これはちくちくしないのが特徴だ。
先ほども言ったが、でこぼこした生地構成のため、肌に触れる面積自体は小さくなる

編み込まれている。「セーター」に近い印象に見えるが、着てみると「行動保温着」として着たくなる。
これが着てみるとほんとに肌当たりがバツグンである。
やわらかあ、きもちいい、のびのびぃ、そんな言葉が思わずこぼれるような着心地だ。

編みこまれているうえに互い違いにブロックが存在してでこぼこをつくりあげている。
そしてでこぼこが保温性を担保してくれるし、編み込みがキツくないことが通気性を生み出してくれている。
そしてその編み込みの絶妙な”ゆるさ”が、抜群のストレッチ感を生み出してくれている。ワンダーオジサンのワンダーボディにとってストレッチする衣類、というのは最早必要条件だ。
このWUNDERWEARが②、③に劣っている点は、「軽量性」と「携行性」だ。
①・②ともに「超」がつくほどの軽さがウリの素材としてミドルレイヤー界に革新をもたらした素材だが、WUNDERWEARはそうではない。
もしかしたらUL(ウルトラライト)という言葉を好む方々にとっては、重量級にすら感じるウェアになる(Lサイズで300g以上)。
そのため、バックパック内に入れて携行するのであれば①オクタが②アルファダイレクトを選ぶのが良いかもしれない。
しかしながらBRINGの公式HPだからこそゴリ推しするが、ワタシがこのウェアの一番の推しポイントだと思っているところが、「着っぱなしで行動できること」だ。
身にまとっている時点でバックパックに入れることはないのだから、「0g」と換算してもいいんじゃないかと思えるくらい、肌になじんでくれるし、汗をかいても汗だまりができずにさらさらを保っているし、着心地が良い、
だけではなく、「暑くなりすぎない」のがけっこう肝である。
これは、ウールの調湿性・調温性によるものなのだろうが、これからの季節のハイキングやトレイルランニングなどは着っぱなしで行動できる、まさに「アクティブインサレーション」なのではないかと思っている。
メリット:着っぱなしで行動できるくらいの着心地の良さ。汗冷えしない。
デメリット:①②と比べると小さくならない。 重い。
まとめ
最後に③をベタ褒めして終わるわけにはいかないので言っておくが、ワタシは①、②、③すべてが素晴らしいアクティブインサレーションだと思っている。
それぞれの良さと弱点を鑑みて、ともに合わせる衣類や装備に応じて使いわけるのがベストではないかと思っている。
というわけで、ワタシが考える①②③の使いわけ方は下記のようにまとめておく。
①オクタを使うとき・・・通気性の高さを活かしたいので、トレイルランニング(特に距離が短く、スピードを出したいとき)の練習で使いたい。また、ハイキングでも行動量の多い登山(急こう配かつある程度速く行動しなければならない場面)で使いたい。
②アルファダイレクトを使うとき・・・携行する可能性がある場合。テント泊登山や少し気温が高くなりそう、陽当たりが良い登山道が多いコースを歩くときに使いたい。
③WUNDERWEARを使うとき・・・冬の低山では着っぱなしで行動したい時。写真を撮りながらなど、少しコースタイムよりもゆっくり目で楽しみたい時に使いたい。また、冬の雪山の登山やスキーなどでも使いたい(気温が低いかつ行動量が多く汗冷えを防ぎたい時)
こんな感じで使いわけようと思う。
そして登山以外においても(日常でも)①②③どれもワタシは使用する。
街で着ることもあるし、特に使うのは部屋着や寝間着としてはどれも優等生で、「クオリティ・オブ・スリープ」が爆上がりするのでぜひ試してほしい。
今回は独断と偏見で3種類のミドルレイヤーをどう使いわけるかを考えてみた。
おそらく、こんなことはここまで読んでいるキミならごくごく自然に頭の中で整理できている話なのだろう。
もっともっと詳しいことを知りたい、気になる、というマニアックな方はぜひ詳細にグーグル先生やYouTube先生でお調べしてほしいし、そうすることでより登山が楽しくなることをワンダーオジサンは願っている。
今回も最後まで読んでくれたキミに、深い敬意を表する。
次回、「浅間ゴールド」