【工場見学】必見!ワンダー工場見学レポ!ワンダーおじさんが目撃したワンダーウェアが生まれる過程とその瞬間「ワンダーおじさんのワンダー工場見学シリーズ」その① ウールの歴史と佐藤繊維株式会社とBRING
日頃より、BRINGの商品をご愛用くださり誠にありがとうございます。
まだBRINGのアイテム持ってないよー!という方も、この文章を読んでいるということは、なぜだか「気になっている」ことかと存じます。それだけで、ワタシタチはうれしいのです。ありがとうございます。
そんな皆様に支えられているBRINGの中でも、ワンダーおじさんことワタクシが愛してやまない、「WUNDERWEAR」シリーズ。
その名の通り、「なんてワンダーでヴンダーな触り心地なんだろう(WUNDER/ドイツ語でヴンダー=奇跡)」と思わせてくれるのだが、
なんと今回、そのワンダーでヴンダーなWUNDERWEARの製造を担っている、
佐藤繊維株式会社様のご厚意で、工場見学をさせていただくことができたのだ!!
ワンダーオジサンにとって、こんな光栄なことはない。
今回BRINGスタッフ総勢5名で見学に伺ったのだが、
あらためてこの場をお借りして、見学をご快諾くださった佐藤繊維様(以下敬称略)に御礼申し上げたい。ほんとうにありがとうございました!
さて、12月某日、ワタシたちチームBRINGは、新幹線へと乗り込んだ。
向かう先は、山形県寒河江市。
チームBRING総勢5名で向かうはずだったが、かくかくしかじかあり、ワンダーおじさんのワタシは一本遅い新幹線で、4名の勇者たちを後追いしていった。

ワンダーマスクおじさん。
普段電車に乗らないおじさんは電車がコワいのでマスクをする。

山形駅で新幹線を降りたら、ローカル線「左沢線」に乗り換えて「寒河江」に向かう。ローマ字が目に入るまで読めなかった。
佐藤繊維は寒河江駅から徒歩3分という好立地。
昭和7年から寒河江にて紡績を始め、90年以上寒河江の地で活躍している。
佐藤繊維本社入口前の高輪スタッフ・スズキ。どのようにWUNDERなウェアが生み出されるのか、ワクワクしている表情だ。
地域に根差して事業を続ける理由は、「自分たちにできることをやろう」という想いがあるから。

4代目 佐藤正樹 社長。自ら工場を案内してくれた。ワタシは自分をさんざん「ワンダーおじさん」とか言ってきたが、この方はとんでもなく「ウールおじさん」だ(ご本人から了承を得ている)。とっても熱く、気さくで、ユーモアがあって、ステキな方だ。
日本国内で販売されているウール製品のほとんどがメイドイン海外ということは想像に易かろう。
これは、現在進行形で国内のニット産業を担う企業がなくなっていっていることも意味する。
正樹社長が佐藤繊維に入社した35年前(1990年代)には山形県内に500社近くのニット企業が存在していたが、今では20社ほどになってしまった。
佐藤繊維はそんな中でも「日本の技術を絶やさない」「自分たちにできることをやろう」という想いをもって、糸を作り出すことから商品まで一貫して製造できることを強みとして、独自の進化を続けている企業だ。
いまでは、商品の製造だけでなく、自社ブランドを立ち上げてデザインから販売もするし、本社の隣には店舗も構えて小売りも行っている。
佐藤繊維が手掛けるブランドのひとつ「911」。写真はワンダーおじさんが工場見学に行ったのだが、一目ぼれしてつい買ってしまったメリノウール100%のカットソーの首元。着用写真はブログの文末にて掲載。
そしてその店舗には自社の洋服だけでなせく、セレクトした商品や地元の野菜などを使った食品、ライフスタイル雑貨や、レストランまでも展開している。
(ショップは『GEA』という名前。とってもオシャレでワンダーおじさんも興奮した)
ショップ『GEA』はローカル線に乗ってやってきた場所とは思えないほどオシャレ!
到着がちょうど正午過ぎだったので、こちらで昼食をいただいた。

ぬぉぉ!!白子のクリームパスタ!こう見ると主役が白子っぽく感じるが、実は地元の野菜がふんだんにつかわれていて、野菜が美味い!ワタシがいままで食べたパスタの中でもかなり上位にランクインした。
GEAは石造りの建物。おそらく200年ほど前からあったであろう酒蔵として使われていた建物をこの地に移築。この内装のインダストリアルな雰囲気が、おじさんとっても気に入りました。(写っているのはおじさんではなくチームBRINGシマダ)
地元の野菜を使った料理を展開したり、使われなくなった建物を移築して再利用したり、、
と地元愛を感じる。
BRINGが掲げる「サーキュラーエコノミー」にまさに通ずる事業をされていることを実感した。
さて、舌鼓を打った後は早速工場に入らせていただいた。
本社と併設されているのは「縫製」を担う工場だ。
要するに、服が形になって生まれてくるところなのだが、こちらの様子についてはまた次回以降のブログで記載する。
工場内の「試紡室」という部屋に案内され、そこで正樹社長自ら語ってくれたウールについての歴史が面白かったし、これからWUNDERWEARをもっと好きになれる内容だったので、今回の残りその話をして終えようと思う。

とても分かりやすくウールの歴史について語ってくださった。この前談があるのとないのとで、この後の工場見学を通じて考える深さが変わる。
ここで教わった内容を記載しておく。
[ウールの歴史について]
ウールという素材が洋服に使われたのは、紀元前のメソポタミア文明においてが起源とされている。
ウールの素材はご想像の通り「ヒツジの毛」なわけだが、ヒツジは古くから「富を呼ぶ動物」として重宝されてきた。なぜなら、一年に一回毛を刈り取っても、また翌年生えてきて、毎年毛を刈り取っては売ることができたからだ。また草だけを食べるヒツジは、雑食の「ヤギ」よりも飼育が易かったそうだ。「ヤギ」は草の根っこまで食べてしまって、枯らしてしまうことから「悪魔」と呼ばれることもあるらしい。
そんなヒツジの毛、「ウール」は、年に一度の毛刈りでしか得られなかったため、やはり綿や麻と比べると高級品だったそうだ。
だからウールの服を着られたのは身分の位の高い人だけだったという(王様だったり貴族だったり)。
「ウール」が「身分の高い人」だけが着ることができなかった理由は、希少であると同時に、綿と比べた時のとある特徴からも言える。

社長の手元にあるのが綿。綿の衣類も気持ちよくて好きだろう?綿もフワフワやわらかだ。
綿は、吸水性が高く、綿の繊維に水が触れると、繊維がシュンっと水を吸収する。なぜかわかるか?綿の内側には、彼らが守りたい種があるし、植物だから水分もたっぷり吸収したいわけだ。だからこそ、綿は水をどんどん吸収するようになっているわけだ。
一方ウールはというと、ヒツジの毛なわけ。身体を守るために毛を伸ばすわけなのだが、何から守っていると思う?
大きくは二つだろうな。
一つ。
雨など水分だ。綿との違いで分かりやすいとおもうが、動物は体温を一定に保ちたいのが本音だ。
これを読んでいるキミたちも、「湯冷め」とか「汗冷え」とかきいたことあるだろう?当然ヒツジちゃんたちも冷えから体をまもるために、あんなかわいいフワフワな毛を生やしている。しかも彼らの毛は油を含んでいるし、水を弾くので(撥水性だ)身体の皮ふが濡れることはほぼないらしい。
二つ。
陽射しだ。夏の日差しのもと帽子をかぶらずにいると、頭皮が日焼けするのはご存知か。ヒツジさんたちは「高原」や「アルプスの少女ハイジ」的なイメージを持つ人も多いだろうが、もっと緯度の低い地域(中東地域や地中海近郊、アフリカも含む)でも古くから飼育されてきた歴史がある。陽射しの強い地域でも生き残れるようにたくさんの毛を生やしている。
もちろん、フワフワの毛は体温のあたたかさを空気の層で維持することができるので、寒冷な地域にも強いわけだ。陽射しの強い地域から、寒冷な地、幅広い場所で草さえあれば彼らは生きていける術を身につけたのだろう。
この二つの「ヒツジの身体を守る特徴」からも、ウールは「撥水性」があって、かつ「体温を一定に保つ」ことができる素材であることがわかる。

こちらが加工前のウール。茶色っぽい。触ると油っぽい。でも見た目からしてあったかそう。

こちらは洗浄後のウール。茶色っぽさが取れている。この状態から糸を作り出し、服を作り出す。
この特徴を、人間は古くから捉えていたのだが、「命を守る」特性がわかりやすく使われていたのが”軍隊”においての使用。
ただし、高級品だったので軍隊のなかでも上官たちしか持てないものだったという。
佐藤社長からは、八甲田山の雪中行軍のお話を伺った。
日露戦争の2年前、対ロシア戦に向けての軍事訓練で約200名の軍人のほとんどが山岳遭難により命を落とした事件だが、生存者の多くがウールの服を身に着けていた、上官だったとのことだ。
海外でも考えられるのは、ナポレオンのロシア遠征だろうか。
ロシアの焦土作戦によって苦しんだフランス軍は極寒の中、倒れていったと想像できるが、その中でももしかしたら身分の高い上官たちはなんとかウールの服を身にまとい、命からがらフランスへ帰還したのかもしれない。
とまあこのとおり、ウールは「命を守る」素材でもあり、古から人間はその力を活用し、重宝し、継承してきたのである。

佐藤繊維自社ブランド「911」のメリノウール100%のTシャツ
「Zeater Short Sleeve Pullover / BBA11001MA」
を着たワンダーおじさんことワタシ。着心地バツグン。いままで登山でメリノ100のTシャツを何種類か使った経験があるが、これが正解なのではないかと思っている。次シーズンの夏山でぜひ試したい一品。
そして現在、佐藤繊維とBRINGは、タッグを組んでウールを使った『WUNDER』なウェアを作っている。
それは、単に「服を売りたい!」とか「かわいい服をつくりたい!」とかではなく、服を通して自然について考えたり、人々の営みについて考えたり、地元を愛することについて考えてみたり、作ってくれた人ってどんな人なのだろうって考えてみたり、、、、、
手に取ってくれた人々に、何か新しい「気づき」や「発見」がうまれてより豊かでワンダーな生活を送っていただけたら嬉しいと思っているからである。
このブログの読者は、極めてマニアックな人々しかいないと思っているが、誰か一人にでも、佐藤繊維様とBRINGの想いが届きますように。。。。
次回、「やっとWUNDERWEARの製造過程!」