BRING™ディレクター・中村が、多彩なゲストとともに、「サステイナブルファッションの“今” 」を語る対談企画。第一弾となる今回は、Z世代の若者を中心に人気を集め、2020年にはBRING™とのコラボレーションも実現した、オールジェンダーブランド「Jam apparel」のデザイナーで、 モデル・女優としても活躍する長谷川ミラさんをお迎えし、「サステイナブルな服作り」に対する想いを伺いました。
TALK SESSION Mila Hasegawa × BRING™ - vol.2 -
2022.11.1
TALK SESSION Mila Hasegawa × BRING™ - vol.1 -
「罪悪感をバネに、環境にも人にも優しい服作りに挑戦」
長谷川ミラ | Mila Hasegawa
'97年7月7日生まれ。東京都出身。ロンドンの美術大学「セントラル・セント・マーチンズ」への留学を経て、現在は様々なフィールドで活躍中。モデルとしての活動のほか、ラジオ番組「START LINE」(J-WAVE)ではナビゲーターを務める。さらに、再生繊維やオーガニック生地を使用したアイテムを展開するサステイナブルブランド「Jam apparel」のディレクション、カフェ「Um cafe」のプロデュースも手がける。
中村崇之 | Takayuki Nakamura
株式会社JEPLAN 営業業務部 プロダクトマーケティング課 課長 1982年生まれ。2006年、東京造形大学メディア芸術専攻卒業。2008年、早稲田大学大学院国際情報通信研究科修士課程修了。2010年、日本環境設計株式会社入社。入社時よりBRING™(旧FUKU-FUKU)ブランドマネージャーを担当。現在、プロダクトマーケティング課課長。マネージャー、事業開発、ブランディング、ディレクション、企画、MD、D2Cを担当。
SNSが、世界を知るきっかけに
中村 これまで主にファッションの世界で活躍されてきたミラさんですが、今の日本のファッション産業には、どんな課題があると感じていますか?
ミラ ファッションが環境問題や人権問題に繋がっているということを、まだまだ知らない人が多いなという印象です。ファッション産業は、畜産業の次に環境負荷が大きい産業です。また、生産現場での過重労働といった問題もあります。ヨーロッパではみんなが当たり前のように知っていた情報が、あまり日本では話題にはならないんですよね。みんな、まさか自分の着ている服が、そんなに悪いものだと思っていないのでしょう。日本に関しては、そこが一番の大きな課題だと感じています。
中村 昔は日本で羊を飼って、日本で毛を刈って、日本で糸を作って……というように、たとえばウールの生地を国内のサプライチェーンで全て作ることができていたんです。経済が成長していくと、そういった一次産業の力が弱くなって、やらなくなる。やらなくなると実態が見えなくなる。
ミラ ある意味「平和ボケ」とも言えます。世界では、今少しずつ動き始めてるんじゃないかな。海外のコンシューマーは声を上げることに抵抗がないので。
中村 SNSでの発信が活発ですよね。疑問に感じたことはまずSNSに上げるじゃないですか。今やSNSでいろいろなことが分かるから、デジタルネイティブな若い世代が、そういった環境問題や人権問題に強く関心を抱くのでしょう。
ミラ 「日本は海外から遅れている」とよく言われていますが、リサイクルに関しては突出して技術があります。こういった技術をきっかけに、ファッション業界において、日本が世界を引っ張っていける存在になったらいいなぁと思います。
サステナビリティを
もっと身近に、
もっと楽しく
中村 BRING™とJAMESIE(現: Jam apparel)は2020年にコラボレーションアイテムを発売、2021年6月には、高島屋新宿店でのBRING™POP UP SHOP会期中に、ミラさんをゲストに迎えたトークセッションを開催しました。今後は、BRING™とどんなことでコラボレーションしたいとお考えでしょうか?
ミラ もっとイベントを開催したいですね。高島屋さんでのトークセッションのようなイベントを、日本全国を回ってやりたいです。サステイナブル素材の製品ってまだあまり市場に出回っていないから、「サステイナブル」と聞いても、どんなものか想像できないじゃないかと思うんです。だからこそ、実際に触れて、体験できる場所を提供するべきです。
中村 服を買い替えるのは、どうしても季節の変わり目や、気分を変えたいタイミングになってしまう。私たちも毎日サステイナブルを伝えられる場所として、カフェ的な空間を作りたいなと考えています。移動販売車に乗って、地方巡業するのも良いですね!
ミラ それと私も、Tシャツのボディのデザインからやってみたいなぁ。そのボディを使って、ブランドを持っている若い子たちを集めて、一緒に共同プロジェクトとかできたら面白そう。
中村 是非一緒に進めていきましょう!ミラさんご自身の今後のビジョンも聞かせていただけますか?
ミラ えー。明日のことしかいつも考えていないので(笑)。JAMESIEとしては、若い世代の方が手に取りやすい価格で、環境問題や社会問題の解決に参加してるって感じてもらえるようなブランド作りをしたいと思っています。私個人としては、元々お芝居をやっていたので、そろそろお芝居もう一度やりたいなぁと思っていて……。
中村 お芝居というと、ドラマや映画ですか?
ミラ 私は舞台のほうが好きです。日本の舞台ってすごく面白いんですよ。今ブランドのほうが上手くいき始めているので、そちらはそちらで回していけるようなチームを作って、私はまた舞台に立ちたい。それに向けて、ダンスや歌の勉強もしています。海外のモデルさんや女優さんを見ると、「活動家」という肩書きではなく、「女優」や「モデル」という肩書きがあったうえで、そのまま社会問題への貢献や発信をしている。だから私も環境活動家になるわけではなく、あくまでも自分の主軸はエンターテイメントの世界に持ちつつ、環境問題や社会問題に対する活動もできる人になりたいです。
中村 そちらのほうが、生活と社会貢献が繋がっている感じがしますよね。サステイナブルのためのサステイナブルって行き詰まりますから(笑)。何もかも、止めてしまうしかない。畜産も止めよう、服作りも止めようみたいな。
ミラ 極論を言うと、何もできなくなってしまうじゃないですか。環境のことだけを考えたら、「今の生活を辞めて、サバイバルしてください」ってなっちゃう。そうではなくて、自分の生活に無理なく組み込めるものでないと。
中村 まさにそれは、「サステイナブルを楽しむ」という BRING™のコンセプトに通じていますね。